それにしても、これだけの世界を築き上げるのは、並大抵の労力ではなかったと思われます。また、メインストリームとは少し離れたサイドストーリーにも、なかなか惹き付けられるものがあったりして、結構侮れません。
中でもAF取得やWS会得クエストは、ある程度のレベルに達する、或いは条件を満たさないと発生しない上に、ジョブが限定されてしまうのはご存知の通り。一般のクエストやミッションは、やる気と根気さえあれば誰でも楽しめるのに比べ、これらのクエストは誰もが気軽に全てを体験出来るわけではありません。しかし、その中にも興味深い内容が含まれていたり、普段疑問に感じている事象の答えが隠されていたりします。
先日も、スパイラルヘルを会得(WSクエストをクリア)した時のこと。
「両手鎌+暗黒Lv71」となると、決してたくさんのプレイヤーが当てはまるパターンではないと思いますが、このクエストには暗黒騎士に相応しいダークな背景が潜んでいました。シャドウ族の由来と、監獄の吸血鬼と呼ばれる男に纏わるお話です。せっかくなのでログをご紹介。
----- (ドラキーユ城地下・ボストーニュ監獄にて) -----
Novalmauge : 君も鎌を使うのか。それもなかなかの腕前のようだ。
……こう見えても僕も多少心得があってね。いろんな鎌を集めているんだ。その中にとても気味が悪い鎌があるんだ。どうやらこいつには呪いがかけられていてね。常人が手にするとおかしくなってしまうという……。
だけど、こいつの呪いを解くことができれば、ある技を使えるようになると言われている。どうだい、君も挑戦してみないかい?
Novalmauge : では、その鎌を渡そう。呪いが解かれた時、こいつはその力を失う。その時は僕にこれを見せてくれ。本当に呪いが解かれたか判断しよう。では、くれぐれも気をつけて……。
----- (トライアルサイズ潜在解除後) -----
Novalmauge : さすがだね。でも残念ながら、これで終わりではないんだ。もう一仕事残っている。
ウグッ……。 すまない、ちょうど薬を切らしていてね。ちょっとつらいんだ。
Novalmauge : いったい何で病気になったのかって?僕はかつてある場所で戦闘訓練をさせられていた。そこで薬を与えられ、こんな体になってしまったんだよ……。
己が己でなくなっていく闇の中の日々。その中で僕は自分の心を保ち続けた。そして、ついに闇から這い出すことができた。だけど、仲間たちは今も……。
Novalmauge : その話はいいんだ。
君には最後の仕事が待っている。これを終わらせないと、これまでの努力が無駄になる。今から渡す試練の地図を持ち怨念洞に向かい、試練の書を手に入れるがいい。それで鎌を封印してすべてが終わる。トライアルサイズはこちらで預かっておこう。では、気をつけて……。
----- (怨念洞・Mokumokuren討伐、試練の書入手後) -----
Novalmauge : 必ず帰ってくると思っていたよ。これでまた1人、いや1本、呪いを解くことができた。僕からも感謝するよ。
(※突然現れる若者)
Brugaire : ノヴァルモージュさんよ、いつものように研いでもらったぜ、あんたのでっかい鎌。
Novalmauge : あぁ、いつも助かる。じゃあ、代金を払うよ。
Brugaire : オレは金さえもらえりゃいいけど、あんた、いったいこの鎌をどうしてんだい?いっつもあんなに刃こぼれしてるなんざ、普通じゃないぜ?
Novalmauge : そういうことを詮索しないのがブルゲール商会だと思ったが、違ったかな?
Brugaire : ……ったく。オレはあんたのことが嫌いじゃないから、親切で言ってんだぜ?
ま、オレは関わり合いたくないからさっさとズラかるけどな。シャバでのあんたの評判はあんまりよくないんだ。その辺、考えといた方がいいと思うぜ?……じゃあな。
(※立ち去る若者)
Novalmauge : ……。
Novalmauge : 君になら本当のことを話してもいいかもしれない。前に、僕はある場所で戦闘訓練をさせられた、って話をしたよね?僕を捕えていたのは「シャドウ」だ。君も見たことがあるだろう、あのエルヴァーンのようなアンデッドのことさ。
奴らは幼な子をさらい、闇の血を流し込みながら戦闘訓練をさせ、最後には自らと同じシャドウにしてしまう。そうやって仲間を増やすんだ。時々、エルヴァーンの子が神隠しにあう事件があるけど、あれはシャドウのしわざだ。
Novalmauge : 信じられないって?でも僕もそんな1人だったのだから、これは本当の話さ……。
そして、今、闇を徘徊しているシャドウは僕と同じようにさらわれた仲間たちだ。完全にシャドウになってしまうと、意識はなくなってしまうらしい。だから僕のことも分かってはくれない。そんな彼らの魂を解放するために、僕は太陽の出ない闇夜にここを抜けだし、この鎌を手にシャドウを狩り続ける。
闇から抜けたと思ったら、そこに待っていたのはより深い、絶望という名の闇だったというわけさ。僕だけ逃げ出したことへの報いなのかもしれないね。
Novalmauge : こんな僕を見て、吸血鬼だと思っても仕方がない。
自分でも怪物じみた行為だと思う。でも他人がどう思ってもかまわない、僕にできるのはこれぐらいしかないんだ。せめてこの手で葬り去るしか……。許してくれ、みんな……。
Novalmauge : ……これが僕のおかれている闇のすべてだ。
もし君がシャドウの魂を解放してやった時はそっと祈りを捧げてやってほしい。
次に生まれてくる時は祝福の光に照らされんことを……、と。
Zaidといい、Novalmaugeといい、なんて救いのない話でしょう。「少しは外の空気吸って、気分転換でも…」と言ってあげたいところですが、そういうわけにもいかないようで。
そして、彼はまた、次のLv71・両手鎌スキル240の暗黒騎士が来るのを待っているのです。監獄の闇に紛れて。